後見人の実務(終了時)

後見の仕事が終わる時

被後見人が亡くなったら

(1)被後見人が亡くなったら、2週間以内に裁判所へ死亡診断書または除籍の記載がある戸籍謄本、除籍謄本の写しを添付して報告します。(引継書が送られてきます。)

(2)登記所へ、終了の登記を申請。
郵送可 費用は掛かりません。

※法務局において住民基本台帳ネットワークを利用して死亡の事実を確認することができるときは,戸籍(除籍)の謄抄本の添付を省略することができますが,住民基本台帳ネットワークを利用して死亡の事実を確認することができないときは,戸籍(除籍)の謄抄本の送付をお願いすることがあります。

(3)後見人は、本人が死亡してから2か月以内に、後見事務の計算をしなければいけない(民法870条)ということになっています。

本人死亡日付の財産目録、現金出納帳、通帳の写し等を作成し、裁判所に提出します。
報酬をもらう場合は、報酬付与申立書、事情説明書も提出します。

監督人が選任されている場合は、監督人に提出します。

財産の引き渡し

相続人等に財産を引渡し、引継書に署名押印をもらって、裁判所に提出します。

受任前と相続人が変更している場合等は、調べなおします。
申立時の親族関係説明図と異なる場合

以下は、誰に引き渡すのかの場合わけの例です。

(1)遺言書なし
相続人が一人 相続人に引き渡す。

相続人が複数 全員に引き渡す。
合意がある場合は、代表相続人に引き渡す。

相続人が行方不明の場合、不在者財産管理人を選任する必要があるが、
時間がかかるので民法918条2項の相続財産管理人(遺産管理人)を
選任して引き渡すケースが多い。

相続人間で、争いがあって財産の引き渡しができない場合も同様。
民法918条2項の相続財産管理人(遺産管理人)を選任して引き渡すケースが多い。

(2)遺言書あり

遺言執行者が就任している。 遺言執行者に引き渡す。

遺言執行者が就任していない。包括遺贈であれば包括受遺者

相続すると書かれている相続人

選任を待つ

遺言書に書かれていない相続人に渡して、勝手に処分されないように注意。

(3)相続人がいない

相続財産管理人を選任

死後事務について

死後事務委任契約ではなく、被後見人の死後に、必要に迫られて行うものについてです。

本来、後見は、被後見人が亡くなったときに、終了しますが、火葬、葬儀等の実施、施設利用料・病院費用等の支払いなど、必要に迫られて、死後事務として行うことが多いです。

成年後見人については、法律上、下記のことができるようになりました。

成年被後件の死亡後の成年後見人の権限(保佐人、補助人にはない。)

①個々の財産の保全

②弁済期が到来した相続財産に属する債務の弁済

施設費用、病院費用の支払い

③火葬または埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保全に必要な行為

葬儀は含まれない。

火葬のみの30数万円程。
(実際には、埋葬迄やっているのが実情)

 

生活保護の場合 葬祭扶助が出る。

身寄りのない方の場合、墓地、埋葬等に関する法律9条1項により、亡くなった場所の市が火葬埋葬することになるのですが、後見人が選任されていると、動いてくれないのが実情です。

その他、未支給年金の問題もありますので、通帳をいつ凍結するかも考慮します。

任意後見というもう一つの選択肢
任意後見制度と法定後見制度との違い 成年後見制度は、法廷後見制度といわれ、任意後見制度と対をなすものです。 任意後見とは、どういうものなのでしょうか。 任意後見制度とは  判断能力があるうちに、判断能力が低下した後の自己の財産管理や...
タイトルとURLをコピーしました